1. トップページ
  2. 京都中部総合医療センターの取り組み
  3. がん診療連携

京都中部総合医療センターの取り組み

がん診療連携

がん診療の現状と課題(副院長 山岡延樹)

がんは、昭和56年に日本人の死因の第1位となりましたが、その後も増加し続けています。その結果、現在の日本人は、一生のうちに2人に1人は何らかのがんにかかると言われています。
 

身近な病気となったがんへの対策として、国はがん対策基本法(平成18年法律第98号)という法律を制定、これに基づいた「がん対策推進基本計画」を決定して、総合的、計画的に推進することとなりました。 全国どこでも標準的で質の高い専門医療を受けられるよう、ハード・ソフト両面からの環境整備やチーム医療の体制整備を進めてきました。 その一環として、地域における医療機関の役割分担の見直し、医療機関の連携などの必要性から、平成20年よりがん診療連携拠点病院の指定制度が開始されました。 これは都道府県ごとにがん医療の中核となる拠点病院を指定整備する制度です。

この制度の見直しが平成26年に行われ、京都府では京都府立医科大学附属病院と京都大学医学部附属病院が都道府県がん診療連携拠点病院に、地域がん診療連携拠点病院として7病院が指定を受けました。 京都府は丹後、中丹、南丹、京都・乙訓、山城北、山城南の6つの医療圏に分けられ、これを2次医療圏と呼びます。 2次医療圏には1か所のがん診療連携拠点病院を整備する方針となっていますが、医療資源は都市部に偏在しており、南丹、山城北、山城南の3医療圏には拠点病院に準じる「地域がん診療病院」を指定し、その医療圏でのがん診療中核施設としての機能を果たすことになりました。

これまでのがん診療の実績から、南丹医療圏では当院が平成27年3月に厚生労働省より指定を受け、がん診療連携拠点病院(当院は、京都府立医科大学附属病院)との連携を行いながら、「地域がん診療病院」として、今後も地域のがん診療における実質的な拠点となりました。

以下に、がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院に求められている診療体制の主なものを示します。
    ① 集学的治療、標準的治療の提供体制
  • 日本に多い5大がん(肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん)と、各診療科が専門とするがんについて、手術、化学療法、放射線治療を効果的に組み合わせた集学的治療を提供する体制を整備すること。
  • 各学会の診療ガイドラインなどに準ずる標準的治療をもとに、がん患者の状態に応じた適切な治療を提供すること。

当院では、各診療科に学会からの認定を受けた専門医を配置し、診断・治療に関して常に知識の集積・手技の向上への研鑽を行っております。治療方針決定には、偏った方向へ進まないよう、その診療ガイドラインに則し、複数の医師が相談したうえで決定することとしております。また、数科が関わるがんの診療には、キャンサーボード(専門科を異にする医師によるカンファレンス)を開催し、治療に関する意見交換をしております。

手術治療は予定手術はもちろんですが、いわゆる“がん救急”と呼ばれる腸閉塞や病巣からの急激な出血などに対する緊急手術が十分に行える体制を確保しております。また、がんの進行範囲の決定に顕微鏡下での診断が必要となる場合には、病理診断医の全面的な協力もと術中迅速病理診断が可能です。

化学療法は、外来通院で行える外来化学療法の比率が増えています。当院でも専用の通院治療室6床を開設し、専従看護師を配して治療を行っています。安全に外来化学療法を行うためには、治療による有害事象(いわゆる副作用)を早期に把握することが重要であり、がん看護を専門とする看護師からの情報が担当医師へ迅速に伝わり共有できるシステムを取っております。また、化学療法においても標準治療を行うために、治療内容(レジメン)を審査し、組織的に安全管理をしています。

放射線治療に関して、平成27年10月から放射線治療施設が稼働し、さらにがん診療の選択の幅が広がり、まさに集学的治療を展開できる体制が整っております。治療における安全性の担保は他の治療と同様に重要であり、第三者機関による出力線量測定など、放射線治療の品質管理を十分に行っております。

    ② 緩和ケアの提供体制
  • 医師及び看護師などから構成される緩和ケアチームを整備し、がん患者に対し適切な緩和ケアを提供すること。
  • がんと診断された時から、身体的、心理的、社会的苦痛に対する緩和ケアが提供される体制を整備すること。
  • 医師から説明する際には、看護師などの同席のもとに初期の診断結果、病状、治療内容だけではなく長期的な視点から十分に説明し、必要時には看護師などによるカウンセリングを行い、安心して医療を受けられる体制を整備すること。
  • 早期からの緩和ケア提供が可能であることを院内掲示や入院時の資料などで患者・家族にわかりやすく情報提供し、その要請や相談に対応できる窓口を設けること。

緩和ケアへの対応がこれまで以上に重要視されています。それは、緩和ケアに関する考え方の変化によるところが大きく、緩和ケアはがんの診断とともに始まるという考え方がその根底にあります。これまでの緩和ケアは、いわゆるターミナルケア(終末期ケア)を指していましたが、さらにその意味が広範囲に捉えられるようになっています。手術治療などで治癒可能ながん(早期のがんも含まれます)においてもその治療過程には、身体的、心理的、社会的苦痛が伴います。これらの苦痛を緩和することも大切です。

治癒とは、がんを身体的、心理的、社会的に完全に緩和できた状態と位置付ることもできます。治癒が得られない進行したがんの場合には、苦痛が最期のときまで継続します。手術、化学療法、放射線治療でさえ、緩和治療の一環としての一時的に有効な手法と考えられます。残念ながらターミナル期に達した場合には、他の治療法以上に迅速に対応を行わないと苦痛を緩和する時期を逸する可能性があります。導入を早期に行うこと、診断を受けた時から準備すること、すべてのがん治療は緩和ケアとともに始まると言っても過言ではないのです。

当院では、早期から緩和ケアが行えるよう緩和ケアチームを編成し、緩和ケア外来、病棟ラウンドを行っています。また、がん相談支援センターを設置し、相談員基礎研修を修了した、がん専門相談員を配置しております。がんの診断から治療、その後の療養生活、さらには社会復帰と、生活全般にわたって一緒に考え問題を解決できるお手伝いをいたします。疑問や不安を感じたとき、一人で悩まず、気軽にご相談ください。

    ③ 医療機関の連携・協力体制
  • 地域の医療機関から紹介されたがん患者を受入れること。手術、放射線治療、化学療法、緩和ケア、病理診断、画像診断の提供に関する相談など、地域の医療機関と相互に連携協力体制を整備すること。
  • 退院支援に当たっては、地域の緩和ケア提供体制を含むがん診療に関する情報を集約し、医療機関や患者・家族に対し情報提供できる体制を整備すること。
  • がん診療病院と地域の医療機関の協力診療体系を整備すること。また、がん疼痛緩和などの症状緩和に関しても在宅診療で継続して実施できる体制を整備すること。
  • 退院後の療養場所などに関する意志決定支援を行い、地域の在宅診療に携わる医師や訪問看護師などとの退院前カンファレンスを実施すること。

がんに対する治療は病院の中だけで行われるものではありません。まず、がんの最初の診断がかかりつけの地域の医療機関で行われることも多いのです。これらの医療機関との連携関係を強化し迅速に対応するため、当院では地域連携室を常設し日頃から情報を共有する努力をしております。退院後は、病院外での療養や治療を継続していただかなければなりません。どこでどのように療養していただくのか、そのための準備として入院中に何が必要か、退院後の生活を想定した支援を入院中から行わなければなりません。在宅での療養を希望される場合には、地域の在宅診療に携わる医療機関や訪問看護師などとの退院前カンファレンスを実施し、診療の継続をいたします。

    ④ セカンドオピニオンの提示体制
  • セカンドオピニオンの提供(他施設で診療中の患者に対し、専門的な知識・技能を有する医師によるセカンドオピニオンを提示する体制を整備すること。)
  • 他施設のセカンドオピニオンの活用(他施設にセカンドオピニオンを求めその結果を診療に活用できること、それによる不利益がないことを説明する体制を整備すること。)

セカンドオピニオンとは、現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めることです。ほかの医療機関に担当医を替えたり、転院したり、治療を受けたりすることではなく、まず、ほかの医師に意見を聞くことがセカンドオピニオンなのです。セカンドオピニオンを受けることで、現在の担当医の意見を別の角度からも検討することができ、同じ診断や治療方針が説明された場合は、病気に対する理解が深まることにつながります。また、別の治療法が提案された場合には選択の幅が広がることで、より納得して治療に臨むことができます。

当院で診療を受けておられセカンドオピニオンのご希望をお持ちの方は、遠慮なく現在の担当医にお申し出ください。紹介状(診療情報提供書)や、血液検査や病理検査・病理などの記録、CTやMRIなどの画像検査結果を準備いたします。

通院治療室

日本人の2人に1人はがんにかかる時代です。高齢化社会を迎え、全く他人事とは言えません。本院では2007年11月から6床の外来通院治療室が開設されました。

外来通院治療室は外科、呼吸器外科、消化器内科、血液内科、産婦人科の患者さんが血液検査、レントゲン検査等の後に各科専門医の診察後に抗がん剤治療(標準治療・・科学的根拠に基づいた観点で現在利用できる最良の治療)を受けるところです。

環境面では、カーテンを使用して個人のプライバシーに配慮しています。軽音楽が流れる室内で全てリクライニングできる椅子・TVを備え、落ち着いた雰囲気で治療しています。専任の看護師が患者さんのニーズに添えるように事象(薬の副作用)の予防やアフターケアを行い、QOL(生活の質)を少しでも拡大できるように心がけています。

チーム医療では各科の専門医、薬剤師、皮膚ケア・緩和ケアは認定看護師とも連携し患者さんの苦痛の軽減、安全・安楽な治療を目指しています。
日々、患者さんの前向きな姿勢に、少しでも力になれたらと思うので気軽に声をかけてください。

放射線治療

放射線治療とは、リニアックと呼ばれる装置で体の外側から放射線を照射して、がんなどの病気の治療をしたり痛みの緩和をします。

当院は京都府「地域がん診療病院」として地域のがん医療の水準向上に貢献するため、南丹医療圏では初となる放射線治療の整備を進め、高い性能、操作性、安全性を備えた最新式の医療用リニアックを導入しました。

当院の放射線治療は、3種類のX線と5種類の電子線エネルギーが選択できるため、幅広いがん患者さんに対応することが可能です。

この医療圏にも、がん治療の3本柱と言われる「手術療法・化学療法・放射線治療」が揃うこととなります。

がん相談支援センター

「がん相談支援センター」では、患者さんやご家族さまのがんに関する疑問や悩みが少しでも和らぐように、様々な問題に関する相談をお受けしています。
がんに関するお困りのことや、ご相談がございましたらお気軽に当院のがん相談支援センターをご利用ください。
問題解決のお手伝いをさせていただきます。

電話受付
がん相談支援センター
TEL 0771-42-2510(代)
月曜?金曜(年末年始・祝日を除く)9:00~16:00

がん治療認定医

日本がん治療認定医機構(Japanese Board of Cancer Therapy)の認定を受けた「がん治療認定医」および暫定教育医(平成29年7月まで)が在籍しています。日本がん治療認定医機構は、がん治療水準の向上を目指し、基盤となる臨床腫瘍学の知識、基本的技術に習熟し、医療倫理に基づいたがん治療を実践する医師(がん治療認定医)の養成と認定を行い、本邦におけるがん診療の発展と進歩を促す目的で平成18年12月に創立された機構です。

地域がん診療病院


平成27年3月31日付けで、厚生労働大臣から「地域がん診療病院」の指定を受けました。
「地域がん診療病院」とは2次医療圏の中で、がんに対する標準治療、集学的治療を提供する機能があり、より高度な医療を必要とする困難なケースについてはグループ指定を受けるがん診療連携拠点病院と連携することにより対応できると厚生労働省が認めた病院です。
当院は、京都府立医大付属病院(都道府県がん診療連携拠点病院)とのグループ指定により南丹医療圏唯一の「地域がん診療病院」に指定されました。

協力病院としての役割
  • 地域がん医療従事者研修の実施
  • 診療支援ネットワークの強化
  • 院内がん登録の実施
  • がん患者や家族への相談支援センターの設置
  • 普及啓発・情報提供の実施
  • 院内がん医療従事者のスキルアップ
活動内容
  • 緩和ケア活動に関する企画・活動・評価分析など実質的な業務の担当
  • 院内のがん患者さんのペインコントロールを目的としたラウンド
  • 緩和ケア研修会(年2回)(地域住民・地域の医療相談も含む)
  • 緩和ケア研修会(月1回)(院内医療従事者)
  • がん相談支援窓口

PAGE TOP