臨床工学科

臨床工学技士

「臨床工学技士」という医療職種を知っている一般の方は少ないと思います。また、医療従事者でも、臨床工学技士という存在は知っているが、どのような役割を果たしているのかまでは知らない方も多いと思います。
医学と工業・電子技術の発展により高度な医療機器が数多く開発され、医療現場で使用されるようになりました。それに伴い、医療機器に精通した専門技術者への要望が高まったことを受け、「生命維持管理装置の操作および保守点検を行うことを業とする」医療機器のプロフェッショナルとして、昭和63年2月に施行された臨床工学技士法に基づき臨床工学技士が誕生しました。
京都中部総合医療センターには18名(平成31年4月1日現在)の臨床工学技士が在籍しています。また、スタッフの中には看護師や臨床検査技師の国家資格を取得した後、更に臨床工学技士資格を取得している者もいます。

業務内容

臨床工学技士の業務フィールドは、病院内で医療機器を使用し診察・検査・治療など診療を行う全ての場所です。
また、病院は365日24時間休むことなく診療が行われています。そのため、臨床工学技士も365日24時間いつでも速やかに対応するための体制を整えています。

医療機器管理業務

  • 医療機器の中央管理業務
  • 医療機器のトラブル対応業務
  • 生命維持管理装置の操作・使用中点検・定期点検
  • 医療機器管理システムの運用

臨床工学技士の最も根幹となる業務で、多種多様な機器への臨機応変かつ迅速な対応を要求される業務です。
中央管理している医療機器がいつでも正常に使用できるよう保守点検を行い、中央管理を行っている機器は必要に応じて直ちに持ち出して使用できるよう管理しています。
医療機器にトラブルが生じた場合、迅速に原因の究明を行い、必要で有れば修理を、また操作方法や使用方法に問題が有る場合はそれを是正するための指導を行います。
患者さんに使用中の生命維持管理装置が、患者さんの病状に応じた適正な使用をされているか使用中点検を行い、医師や看護師と連携し設定の適正化や、治療方法の検討を行います。また生命維持管理装置には定期点検が義務付けられており、決められた定期点検のサイクルに従い適正に行っています。 医療機器管理システムを用いて、医療機器管理業務を効率よく行っています。

在宅医療機器管理業務

在宅医療機器はご自宅で使用する医療機器となるため、入院中または外来時に、患者さんご本人や家族の方へ機器の説明や管理を行なっています。
院内でも在宅医療機器を使用することもあるため、院内勉強会も行い医療スタッフの知識・技術向上に努めています。

透析業務

  • 透析の準備や開始、患者さんの状態チェック、返血などの臨床業務
  • 透析装置の保守点検業務
  • 透析液の作成・濃度管理・清浄度管理業務
  • 特殊血液浄化業務

臨床業務は、透析治療が安全に精度高く行えるよう医師や看護師と共に協力し行っています。また、患者さんの検査データから透析効率を算出し、それを元に透析で使用するダイアライザー(人工腎臓)の大きさ(膜面積)や膜材質や、透析時間・血流速度など、患者さんに合わせた至適透析条件を医師や看護師と共に考えます。
保守点検業務は、臨床工学技士の知識と技術を活かし、定期点検や機器トラブル時に迅速な対応を行っています。
透析液の作成・濃度管理・清浄度管理業務は、透析治療の根幹である透析液を、適正な濃度かつ清潔な状態で作成し、安定供給できるように管理する重要な業務です。逆濾過を利用したオートプライミングや、Online HDFを用いて透析療法を行っている当院腎センターでは、透析液の清浄度を厳しく管理しており、日本透析医学会で推奨されている清浄度を維持しています。
血漿交換療法、二重膜ろ過血漿交換療法、血漿吸着療法、直接血液吸着療法、白血球吸着療法、顆粒球吸着療法など様々な特殊血液浄化療法を、医師の指示のもとにおいて実施しています。
糖尿病性腎症の悪化により透析導入される患者さんの増加および、高齢の透析患者さんの増加に伴い、進行した閉塞性動脈硬化症(PAD)により潰瘍や壊疽も伴うような重症虚血肢(CLI)を併発される透析患者さんも増加しています。当院腎センターでは、糖尿病下肢管理認定看護師取得者を中心とし、患者さんの皮膚の状況に合わせ透析日毎から毎月の頻度でフットチェックおよびフットケアを医師および看護師と協力して行っています。
透析患者さんのバスキュラーアクセス(透析に必要な血液の体外への脱血および、透析により清浄化および除水された血液を体内への返血するための血管への接続方法)である内シャントは表在静脈に動脈を手術により接続することで、表在静脈の血液流量を増加させることにより、透析するために必要な体外へ導き出す血液流量が十分に確保できるようにしたものです。この内シャントの状態が良好でなく十分な血流量を確保できなければ良好な透析を行うことが難しくなります。 そのため、患者さんご自身で毎日内シャントの状態を診ていただけるようチェック方法を説明し、何かしらの異常を感じたら直ちに当院へ連絡するよう指導させていただいています。また、透析開始時や透析中に内シャントに関して異常を察知した場合、速やかに医師にチェックしてもらい、必要であれば直ちにシャント超音波検査を臨床検査技師の資格を有する臨床工学技士により行っています。また、内シャントに人工血管(グラフト)を使用している患者さんの場合、 自己血管と比較してどうしても内シャントトラブルの発生率が高くなるため、定期的(最長半年毎)に内シャント超音波検査を行い、トラブルの発生を未然に防ぐよう体制を整えています。

心臓カテーテル室業務

心臓カテーテル治療で使用する、ポリグラフ(心電図や血圧等を表示・解析する装置)や、血管内画像診断装置(IVUS・OCT)の操作を行います。
また必要に応じて、生命維持管理装置であるIABP(大動脈バルーンパンピング装置)やPCPS(経皮的補助人工心肺装置)、経皮的一時ペースメーカーの操作も行います。

手術室業務

全身麻酔で使用する麻酔器や生体情報モニターの使用前点検や、手術で使用する機器の保守点検や操作を行います。
現在、看護師免許を持った臨床工学技士を1名(平成29年3月1日現在)常駐し、直接介助も行っています。

ペースメーカー業務

徐脈性不整脈の治療装置であるペースメーカーの植え込み手術に立会い、良好なペーシングが行われるようにチェックを行います。手術から約1週間後に、ペースメーカーが問題なく動作しているかのチェックを行い、退院に向けて医師と共に最終的な設定を行います。
ペースメーカーを使用している患者さんは、ペースメーカーが問題なく動作しているか定期的(通常は半年から1年毎)にチェックを行う必要があり、外来受診時にペースメーカーチェックを行います。このチェック時に動作履歴を分析し、より患者さんに合った設定を医師と共に考え、必要であれば設定変更を行います。
近年、MRI対応のペースメーカーが発売され、以前は撮影したくてもできなかったペースメーカー使用患者さんのMRI撮影が条件を満たせば可能となりました。その際、MRI撮影前後のペースメーカーチェックと、MRI撮影に合わせたペースメーカー設定への変更操作を行います。当院では、MRI対応ペースメーカー使用患者さんが必要時いつでもMRI撮影できる体制を、医師や診療放射線技師と協力し整えてあります。

医療機器安全使用教育

医療機器を正しく安全に操作・使用できなければ、高度かつ最先端の医療機器であってもその能力を発揮できないこともあります。患者さんに最高の治療を安全に安心して受けていただくために、医療スタッフに医療機器の正しい使用方法や安全に使用するための講習会、定期的な安全対策研修会を行っています。

心臓超音波カンファレンス

京都府立医科大学附属病院循環器内科の山野哲弘先生に月一回お越しいただき、循環器内科、研修医とともに、心臓超音波症例検討を行い、心臓超音波、心臓カテーテルを含め、心臓治療のスペシャリストを育成しています。

基本倫理

  • 臨床工学技士は、人々の健康を守るために貢献します。
  • 臨床工学技士は、チーム医療の一員として、専門分野の責任を全うします。
  • 臨床工学技士は、医療を求める人々のため、常に研鑽に励みます。
  • 臨床工学技士は、常に高い倫理観を保ち、全人的医療に貢献します。
  • 臨床工学技士は、地域の生命と健康を守るために貢献します。
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