広域災害医療/DMATについて

DMATとは「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義されており災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team)を略してDMAT(ディーマット)と呼ばれています。当院にはDMAT隊が3隊変成されています。定期的に災害時に備えて、地域の災害訓練に参加しています。(活動記録は随時更新中です)

京都府災害拠点病院

京都府の二次医療圏

災害拠点病院とは

京都府内や近燐エリアで災害が発生し、通常の医療体制では被災者の治療が困難な状況となった場合に京都府知事の要請によって傷病者の受け入れや医療救護班の派遣などを行う病院。

拠点病院の条件
  1. 24時間の緊急対応が可能であり、傷病者の受入及び搬出ができること
  2. 耐震構造の建物で、食料や資器材の備蓄があること
  3. 緊急診療をおこなう設備を有し、傷病者の応急収容が可能なスペースを有すること
  4. 敷地内または近接地にてヘリコプターの離着陸が可能であること
  5. 被災後、早期に診療機能を回復できるよう事業継続計画を整備していること
京都府の災害拠点病院

基幹災害拠点病院:京都第一赤十字病院
地域災害拠点病院:京都府立医科大学附属北部医療センター、市立福知山市民病院、京都中部総合医療センター、京都府立医科大学附属病院、京都大学医学部付属病院、洛和会音羽病院、京都市立病院、済生会京都府病院、国立病院機構京都医療センター、宇治徳洲会病院、京都岡本記念病院、京都山城総合医療センター

活動記録

京都中部総合医療センター災害防災訓練

平成23年1月29日(土)

病院の災害対策訓練を病棟など各部門と連携し開催した。今回は院内の訓練に引き続いて、平成22年度「京都府緊急災害医療チーム(京都DMAT)研修を当番医療施設である京都中部総合医療センターにて行った。想定災害は平成23年1月29日(土)午前、京丹波町から京都市右京区殿田-神吉-越畑断層を中心に震度7の地震発生が発生し、(訓練)災害拠点病院である当院に、京都府下のDMATが参集し医療救護活動を展開するというもの。 写真は院内の(訓練用)トリアージセンターにて、被災者役となる公立南丹看護専門学校の学生との打ち合わせ光景。右は臨時に立ちあげた医療施設(SCU)で初期の治療を行っている様子。

 

東日本大震災

平成23年3月11日(金)、午後2時46分頃、東北地方太平洋沖でマグニチュード9.0を記録する巨大地震が発生した。被害に遭われた方々に慎んでお見舞い申し上げ、一人でも多くの方のご無事と一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。
当院のDMATも一隊(医師2名、看護師3名、調整員(臨床工学技士)1名が、「大阪国際(伊丹)空港」より「いわて花巻空港」まで自衛隊輸送機にて移動。花巻空港内の格納庫に設けられた臨時の医療施設(SCU)にて、おもに被災現場からヘリコプターなどで搬出された被災者らの初期治療、全身状態の安定化にあたり、ここから近隣の受け入れ先医療機関への救急車での搬送(域外搬送)、また透析や救急処置・手術を要する患者を遠方の医療機関まで自衛隊機で搬送する(広域医療搬送)任務を担当した。

厚生労働省医政局DMAT事務局や京都府健康福祉部医療課から、隊員の各自の携帯電話の登録アドレスに、一斉に出動要請や待機命令などが送信され、これに従って我々は随時行動した。受信メールの一部を抜粋し、今回の活動を振り返る。

※左右にスワイプ(スクロール)してご確認ください。

着信時間 メール送信内容 発信元
3/11 15:13 本日14:46、宮城県三陸沖を震源とする震度7の地震発生。
全国のDMAT隊員は待機をしていただくとともに、EMISへの活動状況入力をお願いいたします。
厚生労働省医政局DMAT事務局
3/11 15:28 本日、14時46分宮城県三陸沖を震源地とする震度7の地震が発生。
15時13分現在、厚生労働省から全国DMAT隊員に待機要請がありました。府内各DMAT隊員に待機を要請します。
京都府健康福祉部医療課
3/11 18:14 本日発生した東北地方太平洋沖地震に対して、京都DMATは引き続き待機をお願いします。
厚労省から全国派遣要請が出ており、京都第一日赤DMATが出動中です。
他のDMAT医療機関については、現在、京都府内からのDMAT移動手段を調整中のため自院内で待機を継続願います。
京都府健康福祉部医療課
3/11 19:04 本日発生した東北地方太平洋沖地震に関して、現在、各病院で待機中のDMAT隊員のうち『府立与謝の海病院』『市立福知山市民病院』のDMAT隊員の派遣を要請します。
参集場所は茨城県筑波メディカルセンターです。
近畿地方太平洋側でも津波等による被害が発生していることから、
京都中部総合医療センター、京都市立病院、国立京都医療センターの各DMATについては引き続き待機をお願いします。
京都府健康福祉部医療課
3/11 19:47 DMAT隊員各位、現在自衛隊機を利用したDMAT隊員の輸送を調整中です。
人数調整のため、2時間以内に新千歳空港、大阪伊丹空港、福岡空港に参集できるチームはEMISの活動状況に入力してください。
使用する輸送機、行き先については現在未定です。
厚生労働省医政局DMAT事務局
3/11 22:00 災害支援運用により、待機中の以下のDMAT医療機関に派遣を要請します。
『国立京都医療センター』、『京都市立病院』、『京都中部総合医療センター』→事前登録の参集地(大阪伊丹空港)へ出動願います。
なお現在、伊丹空港での航空機搬送の目途が立っていないため空港までの移動中の情報に留意願います。
また、『京都大学医学部附属病院』は陸路による参集先と経路の確認を行い連絡するまで待機願います。
京都府健康福祉部医療課
3/12 0:34 厚労省と警察との調整のうえ、DMATの高速道路の通行が許可されました。
各現場の警察官には伝わっていない可能性があるため、各DMATチームにおいて、通行許可が出ている旨説明してください。
厚生労働省医政局DMAT事務局
3/12 5:03 自衛隊機によるDMAT輸送計画が調整され、伊丹空港においても参集可能となっております。
伊丹空港からの出発時刻は現在のところ未定です。
5時間前に伊丹空港から撤収されている『京都中部総合医療センター』、『国立病院機構京都医療センター』、
『京都市立病院』の各DMATで、チーム再編成による出動が可能な病院のみ、伊丹空港(第6ゲートから進入可能)へ参集願います。
京都府健康福祉部医療課
3/12 12:55 現在被災地内で酸素ボンベがかなり不足しています。
今後医療チーム派遣を行われる場合は、必ず酸素ボンベを携行していただくようお願いします。
厚生労働省医政局DMAT事務局
3/12 14:31 先ほどEMISのお知らせにも掲載いたしまが、各拠点のDMATは使用できる固定電話、
並びに設置した衛星電話等確実に連絡できる通信手段を確保の上、連絡先番号をDMAT事務局までご連絡ください。
DMAT事務局で一覧表を作成の上、EMISに掲載いたします。
厚生労働省医政局DMAT事務局
3/12 19:16 朝に大阪伊丹空港からC-1第二便に乗って「いわて花巻空港」に来ました。市立病院、医療センターも第三便できました。
陸前高田、釜石、大船渡からの患者が搬入されており、史上初の「広域医療搬送」が行われています。
交代でSCUの運営に携わりました。
現在のところ軽症や倒壊した大船渡病院の慢性疾患患者、避難所の高齢者も混じります。
重症はまだ救護されていないのではないでしょうか?
花巻は被災の程度は軽いようですが、停電しています。
格納庫での活動のためにずいぶん寒くなってきました。
花巻には現在ヘリが16機、DMATが350人集まっているようです。
Docomoはメールは使用可能ですが、電話は困難でした。
空路岩手までの投入ですが、どうやって帰られるかを検討中です。
当院DMAT隊
[dmat-kyoto]グループの掲示板
3/13 9:44 石巻周辺の病院被災情報収集です。
未だに全く情報のない病院が複数あります。
今回は48時間ではなく御願いする旨が発信されましたが皆さんお疲れのないように頑張りましょう。
携帯は少しつながるようになってきた感じです。
京都第一赤十字病院
[dmat-kyoto]グループの掲示板
3/14 10:48 岩手県DMAT調整本部です。
自衛隊より津波の反射波がきており、撤退している情報が入りました。
岩手県・福島県・宮城県の沿岸付近で活動しているDMATは至急、避難してください。
厚生労働省医政局DMAT事務局
3/14 14:02 全国DMAT各位。岩手県から全国に救護班の派遣を要請しました。
現在、DMAT活動のニーズは落ち着いてきましたが、救護班のニーズは非常に高いものと考えられます。
DMATの隊員におかれましても救護班としての派遣が可能な方は、ぜひ派遣についてもご検討ください。
岩手県DMAT調整本部
厚生労働省医政局DMAT事務局

当院のDMATも一隊(医師2名、看護師3名、調整員(臨床工学技士)1名の6名が「伊丹空港」より「いわて花巻空港」まで自衛隊輸送機にて移動。いわて花巻空港にたどり着いたものの、その先の沿岸部への身の安全が確保できない現状であり、活動拠点はいわて花巻空港の消防車庫に臨時に設けられたSCU(臨時医療施設)となった。
活動内容は、おもに被災現場からヘリコプターなどで搬出された被災者らの初期治療、全身状態の安定化にあたり、ここから近隣の受け入れ先医療機関への救急車での搬送(域外搬送)を担当した。実際には陸前高田病院の入院患者さんの内服薬などを聞きあげ、転院の手続きを行い、要請した救急車によって、近隣で稼働している病院への搬入の手続きをするものであった。
また透析や救急処置・手術を要する患者に対しては、遠方の医療機関まで自衛隊機で搬送する広域医療搬送任務を担当した。広域医療搬送は阪神大震災以降発足したDMAT活動にて概念として確立していたものの実際に施行されたのは今回が初めてとなった。

当院のDMATは「いわて花巻空港」が、活動拠点となった。「大阪伊丹空港」から、自衛隊輸送機に乗り、「いわて花巻空港」まで移送。ここから、地元の救急車や軽トラックなどに分乗し、大型駐機場よりSCUの拠点となる小型駐機場まで移動した。空港はメインターミナルの一部損壊によって、一般の航空機の離着陸は発災直後から停止状態であった。東北地方では、津波の影響によって、仙台空港が壊滅的な被害を受け、花巻空港と共に稼働しなかった。

津波で大被害を受けた太平洋沿岸部にはアクセスする手段もなかった。我々は花巻空港に自衛隊機やドクターヘリによっ搬入された患者さんの初期治療にあたり、必要に応じて、近隣の病院に救急車で搬出したり、緊急に広域医療搬送を要する患者さんに広域医療搬送の処置を行った。

熊本地震

平成28年4月16日(土)

平成28年4月14日、午後9時26の前震およびその28時間後に発生した4月16午前1時25分の本震がいずれも震度7を観測した。厚生労働省からの派遣要請を受け、当院から医師2名、看護師2名、調整員2名が病院救急車と公用車に分乗して現地に赴いた。福岡県の甘木市で夜を明かし、熊本赤十字病院に設置された対策本部からの指示で、姫路赤十字病院、宝塚市民病院のDMATと共に早朝より熊本市の西沿岸部の宇土市に出向き、有床診療所6ヶ所、避難所15ヶ所の人数や医療資源、ライフライン、感染状況を調査した。活動中も余震が何度も起こり不安を覚えた。2日目も山口県DMATと共に避難所サーベイを中心に活動を行い、2日間の活動を終え帰途に着いた。

大阪北部地震

平成30年6月18日(月)

平成30年6月18日、午前7時58分、大阪府北部を震源として発生した地震。最大震度6弱を大阪府大阪市北区・高槻市・枚方市・茨木市・箕面市の5市区で観測した。当院のある南丹市では震度5弱であった。医師1名、看護師2名、調整員1名から構成されるDMAT1隊が三島救命救急センターに設けられた三島医療圏DMAT活動拠点本部に出向いた。救急車で現地に出向いたが、京都縦貫道の千代川、並河ICのゲートは封鎖されており、篠インターから完成間もない新名神高速高槻JCTから大渋滞の一般道を通り現地本部に辿り着いた。我々の活動は主として各避難所の現地調査の結果を本部にてEMIS(広域災害救急医療情報システム)に入力することであった。

能登半島地震

令和6年1月1日(月)

令和6年1月1日16時10分、最大震度7の能登半島地震が起こった。当院からもDMATが1月4日~7日、1月12日~16日および1月24日~28日の計3隊が現地に出務した。第1隊は石川中央DMAT活動拠点本部が設けられている金沢市の石川県立中央病院の本部において、主に現地の医療受入体制の調査や転院搬送の調整、EMIS(広域災害救急医療情報システム)入力を行い、2名は夜間業務に当たった。第2隊は、石川県立中央病院のMCC(Medical Check Center)での主に診療と搬送調整を行った。収容先がその日に決まらなかった方々が一晩MCCで過ごされる際の介助・見守りにも対応した。第3隊の出務当日は大雪のため予定していたルートの舞鶴若狭道や北陸自動車道が一部通行止めとなっており、現地に到着するためのルートを模索しながら到着した。業務は金沢市にある総合スポーツセンターで患者搬送業務を中心に行った。医師が診察し、病院での治療が必要と判断された入所者はDMATが近隣の病院へ搬送を行う。看護師は患者の状態を観察し移送方法(ストレッチャーか座位保持が可能なのか)を検討しながら、荷物の整理や退所準備を行なう。業務調整員は書類の手続きや搬送先への連絡を行ない、入所者を病院へ搬送した。他府県からもDMATが参集しておりお互いに協力しながら業務に当った。

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